内職と雇用の違いとは

内職という言葉を知らない人は少ないでしょうが、実際に内職をしたことがある人はそれほど多くないと思います。内職は自宅でできる仕事で勤務時間の制約もないので、サラリーマンの副業や専業主婦の人が家計補助のために働くのに向いています。この記事では内職と雇用の違いや仕事の探し方、詐欺的な内職募集への注意など内職について知っておいた方がよい知識について説明します。

 

内職とは?

皆さんが内職に持っているイメージはどんなものですか?一昔前のドラマやマンガには、貧乏な家のお母さんが造花を作っているシーンが描かれたりしてましたが、あんな感じでしょうか。実はそれであながち間違ってはいません。内職は企業から製品の組み立ての一部や梱包などの単純作業を委託されて、自宅で作業を行なう仕事です。造花もそうですが、お菓子の袋詰めや衣服のボタン付け、電気製品の組み立てなど作業内容は多岐に渡ります。

 

内職は厳密に言うと家内労働の一種です。家内労働というのは厚生労働省の定義によると「自宅で、メーカーなどの委託者から部品や材料を提供されて、一人または同居の親族と製造や加工などを行い、作業の対価として工賃を受け取ること」です。内職者は企業の委託を受けて働く準労働者です。準労働者とは「企業に雇用されて働く労働者に準ずる者」という意味で、労働者を守る「労働基準法」ほど強く保護されませんが、企業に不当に扱われることが無いように「家内労働法」という法律で委託側の企業が守るべき最低工賃や契約基準などが定められています。

 

個人事業主として企業と対等の立場で委託契約を結ぶ在宅ワーカーが、基本的に契約内容で保証された事項以外は自己責任になるのと異なり、内職者は「家内労働法」で定められた事項を委託者が守らなかった場合、法的保護を受けることができます。その点では安心感がある仕事と言えます。企業の委託を受けているといっても、自宅で仕事をするので勤務時間の制約はありませんし、企業から細かい指示があるわけではありません。作業も単純作業が多いのでスキマ時間に行なう副業や、小さい子供がいて外で働くことができない主婦の仕事としてはよい選択肢と言えるでしょう。

 

内職のメリット・デメリット、内職に向いている人

メリットは前述したように、自宅で時間の制約を受けずに働けることです。会社勤めにありがちな人間関係の悩みや、通勤に時間がかかるなどの問題がありません。企業との契約で納期や納める数量などは決まっているので、それは守らないといけませんが、基本的に一人で作業するので好きなように作業を進められます。また同居の親族であれば、補助者として手伝ってもらうこともできます。作業も単純労働が多いので特殊な知識は必要なく、誰でも簡単に始めることができます。内職を複数掛け持ちすることも禁じられていないので、自分のコントロールできる範囲で仕事を増やせることも利点です。

 

また、専門知識を必要とする内職(電気製品のハンダ付けなど)は単価が高くなるので、持っている技術によっては単価の高い仕事を受けることもできます。デメリットは基本的に単価が安いことです。最低工賃は各自治体で定められていますが、1個辺りの単価は1円(未満)~数円といったところです。1分で1個作れるとしても1時間で60個ですから時給は60円~数百円ということになります。時給で言えばアルバイトの方が圧倒的に高いです。厚生労働省の発表しているデータによると、内職者の1日あたりの平均作業時間は5.0時間で1月あたりの平均就業日数は18.3日です。平均工賃額は1時間491円、平均月収は37,278円となっています。

 

もちろんこれ以上稼いでいる人も多いでしょうが、平均的に見ると月4万弱ということになります。ちなみに副業として家内労働している人の平均月収は29,058円です。副収入として考えたときに少し物足りないように見えますが、簡単な仕事で1日5時間なら見合うと考える人もいるでしょう。また、細かい部品を組み立てる作業だと、小さい子供が部品を誤って飲み込む可能性があります。ペットを飼っている場合、作業中の製品にペットがいたずらして壊してしまう可能性もあります。提供された部品を壊した場合、賠償するのが普通ですので、ペットを飼っている人は作業中の部屋に入ってこないような工夫をしましょう。

 

内職に向いている人は単純作業を黙々とこなせる人です。一人(もしくは同居親族と)で自宅で単純作業を行い、時間配分は自由ですが納期とノルマがあります。飽きやすい人や自分で計画を立ててその通りに作業をするのが苦手な人は向いていません。最初は自分にできる内容で少なめの数からスタートして、慣れていくにつれて数を増やしていけば平均月収にたどり着くのは問題ないでしょう。色々な募集の中から自分の得意な分野で単価の高い仕事があればさらに高い収入が期待できます。

 

税金について

全ての国民には基礎控除額38万円が認められているので、内職で得た所得(収入から、その収入を得るための経費を引いたもの)が38万円以下の人は所得税を払う必要はありません。また内職の場合は経費が発生しないものが多いのですが、同じ労働者でも給与所得者には給与所得控除が認められています。これに対して家内労働者には何もないのは不公平だということで、租税特別措置法に「家内労働者等の必要経費の特例」という制度が定められています。この制度は経費が65万円に満たない場合に実際の経費がかかっていなくても最大65万円まで経費として計上できるというものです。

 

対象は内職者など、家内労働に従事していて、他に給与収入がある場合はその額が65万円未満で、収入の種類が事業所得か雑所得の人です。よほど特殊な内職でない限り内職者の所得は雑所得です。内職の収入が103万円未満の人は、この制度により基礎控除38万円と家内労働者の必要経費の65万円を引いて所得がゼロになるので、税金を払う必要はありません。副業として内職をしている人でも本業と合わせた収入が103万円未満の人はこの特例を受けることができます。ただし、経費として計上できるのは事業所得と雑所得だけなので、たとえばアルバイトやパートなどの給与所得を得ている人が副業に内職をしている場合、給与の分には経費計上はできません。また、内職の収入から引ける経費も65万円から給与収入を引いた額になります。

 

少しややこしくなりましたが、要するに内職(副業の人は本業と内職の収入の合計)で得た収入が103万円以上の人は所得税が発生し、確定申告をする必要があります。給与所得がある場合、給与収入が65万円未満で、基礎控除38万円と給与収入がある場合の必要経費(65万円から給与収入を引いた額)を内職の収入から引いた額がゼロでなければ確定申告をしなくてはいけません。後者は少し分かりにくいので具体的な数字で説明します。給与収入が50万円、内職の収入が60万円、内職の必要経費が10万円だとします。給与収入の50万円は給与所得控除によってゼロになります。

 

家内労働者の必要経費65万円から給与収入50万円を引いた15万円が経費になるので、内職の収入の60万円から基礎控除38万円と経費の15万円を引いても7万円の所得が残ります。したがって、所得税が発生するので確定申告をする必要があります。ちなみに内職者の平均月収が37,278円ですから、平均年間収入は447,336円となります。つまり平均的な収入の内職者は税金を払わなくてよいことになりますね。税金の話で付け加えると、専業主婦の人が内職をして所得を得る場合は、103万円を超えると自分の所得税が発生し、150万円を超えると、ご主人の配偶者特別控除が201万円までの間で段階的に減っていきます。

 

また、130万円を超えるとご主人の会社の社会保険から外れることになり、健康保険と年金を自分で加入しないといけなくなります。収入が増えてもこれらの費用でかえって家計にとってマイナスになる可能性もあるので、きちんと計算をして、どの程度の金額を得るのが家計に一番メリットがあるのか考えましょう。

 

内職を探すときの注意点

内職はどうやって探せばよいのでしょう?求職で思い浮かぶのはハローワークですが、ハローワークは基本的に雇用関係の仕事を紹介する機関なので内職はほとんど取り扱っていません。まれに求人がありますが、あまり期待しない方がよいでしょう。一番確実なのは市役所や公的支援センターなどの公的機関の職業紹介窓口で相談することです。内職を募集している企業は委託状況届という書類を自治体に提出するので、情報が集まっています。初めての人は公的機関で相談できるのも心強いでしょう。

 

しかし、2019年現在一番効率がよいのはインターネット上で内職を探すことです。最近は中小企業も自社のWebサイトで募集をかけたりしますし、私どものサイトのように内職や在宅ワークをメインに全国の企業とマッチングしている紹介サイトもあります。募集情報を探すだけなら数時間あれば自分の気に入る条件の内職が見つかるでしょう。しかし気をつけないといけない点が一つあります。それは内職募集に見せかけた「インチキ内職募集」が存在することです。

 

厚生労働省のWebサイトの「家内労働について」というページに注意喚起の情報が乗せられていますが、内職の募集と見せかけて、「単価が高いかわりに多少の専門知識が必要なので講習会を受ける必要がある」「専用工具が必要になるので購入してもらうのが条件」「高額単価の案件があるので担保金が必要」などと様々な名目でお金を取り、実際の仕事は回さなかったり、低い単価の仕事しか受けさせない、内職を辞めようとしても担保金を返してくれないなどの被害が発生しています。

 

もちろん内職のために多少の費用を払う必要がある場合もありますが、あまり高額な費用を事前に取るのは不自然です。このような案件を見つけたときには、企業での募集であれば公的機関にこの会社が委託状況届を出しているか確認した方がよいでしょう。出ていなければ違法行為なので、詐欺的募集の可能性が高いです。内職紹介サイトで見つけたときは、やはり公的機関への確認を行いましょう。紹介サイト自体が信用できない可能性もあるので、サイトに確認するのは止めておいた方がよいです。

 

紹介サイトについては、基本的に内職を探している側からは料金をもらわないサイトに登録しましょう。私どももそうですが、紹介サイトは内職を募集する企業からお金を頂いて運営しており、内職を探す人はサイトの財産と言えるからです。また、掲載企業に対して規約で内職希望者保護に関する注意事項をきちんと述べているサイトが信用できます。このようなサイトであれば一々公的機関に問い合わせなくても、詐欺的な募集案件は事前に落としている可能性が高いからです。

 

最後に内職が決まったときの一連の流れについて説明します。連絡はメールや電話など募集要項に沿って行ないます。履歴書などは必要ありません。指定された日時に会社へ訪問し、内職についての説明を受けます。このときに作業内容や材料・完成品の受け渡し方法などが説明されます。疑問があれば気兼ねせず質問しましょう。特に作業場所が自宅ではない場合や受け渡しを作業者が会社に行って行なう場合もあるので、よく聞いて不明な点がないようにしましょう。そして「家内労働手帳」を交付してもらいます。手帳といいますが、伝票形式のものもあります。必要な内容が記載されていれば問題ありません。

 

記載内容は「基本委託条件(家内労働者と委託者の氏名、営業所の名称・所在地、工賃の支払方法、その他の委託条件など)の通知」、「注文伝票(委託業務の内容、納入物品数、工賃単価、工賃の支払期日、納品の期日など)」、「受入伝票(受領年月日、工賃支払額)」です。「基本委託条件の通知」は最初の材料の引き渡しまでにもらいます。 「注文伝票」は材料の受渡しのたびに、「受入伝票」は物品を引き渡し工賃を支払われるたびにもらいます。

 

この書類により、企業が家内労働法を遵守していることを証明しているので、内容を確かめ内職を続けている間はきちんと保管しておきましょう。なお、工賃は直接納品であればそのときに現金払いのことが多いです。 材料や物品を郵送する場合は月締めで振込や週払いで振込などがあります。毎回納期をきちんと守って製品の出来がよければ仕事の量を増やしてもらえます。人手不足の昨今、企業は内職でも良い人材を確保したいので、真面目に取り組んでいればちゃんと評価してもらえます。内職が自分に合っていると感じられたなら、付き合いを長くした方がよいでしょう。

 

内職は高収入は期待できないが、取り組みやすいので副業や主婦の家計補助におすすめ

内職は単価が安いため高収入は期待できませんが、自宅で時間の制約を受けずに気楽にできる仕事のため、副業や主婦の家計補助におすすめです。アルバイトなどの雇用関係だと、人間関係やシフトによる時間の制約があるので、そういったことが苦手な人にもおすすめと言えるでしょう。注意すべき点として、詐欺的な内職募集と確定申告をしなければならない収入金額があります。この記事を参考に興味があればチャレンジしてみましょう。